2025夏至・乃東枯:夏休みの新潮文庫

横浜界隈も暑い日が続いていますが、風は心地よいですね。

昨日は夏至でした。

昼が最も長い日。

七十二候はというと、乃東枯(なつかれくさかるる)」

乃東とは、夏枯草の古名。

夏枯草とは、ウツボグサのこと。

洋の東西を問わず、古くから薬として広く用いられたとか。

※ 注:画像はウツボグサではなく、アガパンサス。

七十二候には、このウツボグサが芽を出す頃という意味合いの「乃東生 (なつかれくさしょうず)」もある。

こちらは冬至の最初。

ウツボグサは冬至に芽を出し、夏至に枯れる。

冬至から夏至への、時間の流れを感じます。

そして、これから冬に向かって夜の時間が増えていく。

なんとなく残念なような気もする。

けれども、夏が終わるわけではなく、これからが夏本番。

日本の夏は蒸し暑い。

特に海外から来られた方の多くは、この蒸し暑さに閉口するとか。

明治の頃、日本政府などに雇われた外国の方々(いわゆる「お雇い外国人」)や宣教師の皆さまは、日本の夏を避け、軽井沢に避暑に出かけた。

それが軽井沢の別荘地の始まりとされている。

確かに、軽井沢の夏は過ごしやすい。

特に朝晩になれば、冷んやりとした風が吹いたもの。

最近までエアコンのない家も多かったというくらい。

近年でも、ものすごく暑い日というのは、ほんの2週間もなかっただろうか。

今でも、それが好まれることもあって軽井沢には別荘が立ち並ぶ。

けれども、私には軽井沢の夏は物足りなかった。

夏は暑いもの。

強烈な陽射しが降り注ぎ、むわっとした湿気が立ち上る。

それが、私にとっての夏。

そんな夏の気配がすると、わくわくする。

それはきっと、夏休みの記憶とつながっているから。

海の上に広がる青い空と白い雲。

熱気に満ちた港街。

いつもの書店に出かけ、文庫本コーナーへ。

新潮文庫の100冊から、その日の1冊を選ぶ。

あの幸せな感覚が、夏の熱気に蘇る。

そう、スイカが美味しいのも暑いからこそ。

軽井沢では、その感動は薄らいでしまう。

とはいえ、夏休みに新潮文庫の100冊に心躍らせた頃に比べ、夏の暑さは厳しくなった。

今頃のこの涼風が、かつては真夏にも感じられた記憶があります。

だからこそ、今、かつての夏休みの感覚が蘇るのかもしれません。

屋外で働かれる方々には、厳しい季節かと思います。

どうかお気をつけて、これからの暑さを乗り越えられますよう。

暑さはほどほどに、よき夏を!