柚子の苗

2025年4月25-29日頃

穀雨・霜止出苗

横浜界隈では、いつのまにか緑萌え、すっかり初夏の風情です。

そして、七十二候は、霜止出苗(しもやみてなえいずる)となりました。

霜が終わり、苗が生長しはじめる頃ということですね。

 

SNSではご報告していましたが、柚子の種子から芽が出ました。

実家からもらった実から採った種子。数ヶ月前、それを植木鉢に植えました。

ところが、うんともすんとも言わず。

時々、掘り返してみたりして……もう芽は出ないかと思った頃合いでの、嬉しい出来事でした。

 

実生から実がなるまでには10年かかるとも。

この小さな苗が木となって、いつか実がなる。

緑豊かな葉のあいだに、鮮やかな黄色い実がころんと浮かぶ。

その風景を眺める自分。10年後の自分はどんなだろう?どうしていたいだろう?

10年後の「ありたい姿」に想いは広がります。

 

10年後というと、「自分はこの世にはいないかも?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

私もそう思います。

「いやいや、あなたはまだ若いから大丈夫よ」

そんな声が聞こえてきそうですが、10年後のことなど誰しもわからないもの。

なのに、なぜ10年後のことなど考えるのでしょう?

10年後のことなどわからないし、自分は存在しないかもしれないのに。

 

でも、だからこそ考えたいのです。

この柚子の木に実がなる頃、自分はこの世にいないかもしれない。それでも、それを眺める自分の姿を想ってもいい。

そう想うからこそ、今の時間が連綿と続く時の流れとなって未来へとつながっていく。

先日、このサイトで公開した短編小説『ちいさなボウ』にも、そんな想いがあったような気がします。

ちいさなボウ〈上〉

この日、ちいさな蝉が土の中から出てきました。 ツクツクボウシの子どもです。 名前は〈ボウ〉。 ボウの頭の上には、柔らかい ...

ちいさなボウ〈下〉

  → ちいさなボウ〈上〉から続く    翌日。 立派な蝉の姿になったボウが、公園の木立の中にいました。  じー  つく ...

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