関東地方は、そろそろ梅雨入りを迎えるようです。
今は「螳螂生 (かまきりしょうず)」。
実際のカマキリの孵化の季節よりは、少し遅いかもしれません。
カマキリとは、まさに「鎌切り」。
前足が鎌のようになり、他の昆虫を捕食する。
戦闘的な形といえますが、実際の性質も好戦的とみてよさそうです。
その日、道をゆくのは斉国の君主・荘公の馬車。
と、その行手の道の真ん中に、カマキリが鎌を上げて立ちはだかっていました。
小さな虫が大きな馬車に立ち向かう。
荘公は、そのカマキリの勇気を讃え、カマキリをよけて通った。
この中国の故事は日本にも伝わり、戦国時代には兜の立物にもなりました。
ところが、その後、意味はすっかり転じてしまいます。
現代では「蟷螂の斧」といえば、「弱小のものが、自分の力量もわきまえず、強敵に向かうこと」(「デジタル大辞泉」小学館より)
言葉は時代と共に変わるものです。
さて、カマキリは、別名「拝み虫」とも。
前脚で拝んでいるような姿から、そう呼ばれるのですね。
英語でも、praying(祈る) mantisの名前があります。
mántisとは、ギリシア語で「予言者」のこと。
そういえば、「カマキリの雪予報」をご存知でしょうか。
カマキリの卵の位置で、その年の積雪量がわかるという伝承です。
カマキリが事前に積雪量を予知し、冬の雪に埋もれないような高さに卵を産みつけるというのです。
降雪地帯に伝承されるようで、信州でも耳にしたことがあります。
中国、ギリシヤ、日本……
カマキリの独特の形に、古来から人は想像力をかき立てられるのは、世界の何処にも同じですね。
梅雨の季節。
横浜界隈では、紫陽花が色とりどりに咲いています。
鬱陶しいと思われるかもしれませんが、雨の匂いや草の香り、花や緑の色が際立つ季節。
皆さまにとっても、よき日々となりますよう。