横浜界隈は、このところ風雨に見舞われています。
6月2日は開港記念日ということで、この週末からイベントが随所で開催されています。
明日からはお天気も落ち着くといいですね。
さて、事務所の方はコーポレート・ライティングの仕事が繁忙期を迎えつつあります。
気づけば、七十二候は一つ通り過ぎようとしているところ。
5月末頃までは、紅花栄(べにばなさかう)。
実際に咲くのは、6月末から7月頃とか。
今回ばかりは、七十二候も今の季節を外れているようです。
七十二候は中国に由来し、日本で改訂されたものです。
その改訂の過程で、実際の植物の季節とは乖離したという説もあります。
ともかくも、せっかくですから「紅花」について。
古来より染色の材料として、日本でも各地で栽培されていたようです。
特に山形がその産地として知られ、県の花にも指定されています。
別名を「末摘花」。
『源氏物語』では、故・常陸宮の末娘のこと。
その高貴で、しかし不幸な身の上に関心を寄せた光源氏。
その負けん気も手伝ってか、その姫君と関係を持ちます。
ところが、その後にはこう詠んだ光源氏。
なつかしき色ともなしに何にこの末摘花を袖にふれけむ
心惹かれる色でもないのに、なぜこの末摘花を袖に触れてしまったのだろうといった意味。
作中で、この姫君は極めて奇異な容貌として描かれています。
特に目を引いたのが象のように垂れ下がった鼻で、その先は赤かった。
常陸宮の末の娘であり、鼻が赤いことから末摘花と渾名されたというのが一般的な読み方かと。
しかし、別の解釈の仕方もあるようです。
ここでは触れませんが、それが『源氏物語』の面白さであり、平安文化の奥深さ。
先日、『正訳 源氏物語 本文対照』(中野幸一・翻訳、勉誠出版)の存在を知りました。
遅ればせながら、ぜひ拝読したいところ。
多忙のなか古典の世界にふと触れると、心ほぐれる思いがします。