更新が遅れました。
事務所・TN worksに再び参入。IRの業務が始まったところで、気づけば季節は立夏に入っていました。
七十二候では、蛙始鳴(かわずはじめてなく)。
田んぼに蛙が鳴き始める季節です。
信州の広大な畑の畦道。
そこを歩いていると、蛙がぴょこぴょこと飛び跳ねたこと。
夜には蛙の合唱が絶え間なく聞こえていたこと。
第二の故郷である東信(信州の東側のエリア)の情景が、懐かしく思い起こされます。
それもまた、人生の大切な財産。
(アイキャッチは千曲川畔の畦道にて)
さて、蛙のお話。
古来より数々の和歌集があります。
そこには、序文が置かれます。
仮名で書かれた序文を「仮名序」、漢文で書かれた序文を「真名序」と呼びます。
『古今和歌集』の仮名序にはこうあります。
花に鳴く鶯 水にすむ蛙の声を聞けば 生きとし生けるもの いづれか歌を詠まざりける
有名なくだりです。
また、平安時代の歌人・藤原俊成が筆した『古来風躰抄』にも蛙が登場します。
春深くなるままには 井出の山吹に蛙の鳴き
蛙は、ここではいずれも春の風物とされています。
ところが、それに反し、夏の蛙を歌った歌人もいました。
藤原俊成の子息・定家もその一人。
庭たづみ垣もほたへぬ五月雨は 真木の戸口に蛙鳴くなり(『拾遺愚草』)
五月雨といえば梅雨の頃、まさに初夏です。
そして、今、二十四節気では立夏。
暦の制度の変遷や気候変動、そして生活習慣の変化。
さまざまな要因によって、二十四節気も七十二候も今の時代には合わなくなってきています。
それでもなお、季節の移ろいに向けられたいにしえの人々の眼差しが、ふと感じられる時があります。
私たちも、その感覚を脈々と受け継ぎ、今こうして季節を生きているのかもしれません。