横浜界隈では、あの花冷えの空も嘘のような、ともすると暑いほどの陽気となりました。
二十四節気では、春の雨が穀物を潤す季節「穀雨」。
なかでも4月20日から24日頃は、七十二候では「葭始生 (あしはじめてしょうず)」です。
「アシ」とは、イネ科ヨシ属の多年草。河川および湖沼の水際に背の高い群落を形成する。(Wikipedia「ヨシ」より)
「葭」や「葦」と書き、「ヨシ」とも読まれます。
「アシ」と読めば、「悪し」に通じ、縁起が悪いとされたのは、8世紀の律令制が布かれた頃のこととか。以来、「葦原」は「吉原」となるなど、「ヨシ」が一般化しました。
「ヨシ」というと、真っ先に思い浮かぶのがこちらのことわざ。
葦の髄(ずい)から天井を覗く
細い葦の茎の管を通して天井を見て、それで天井の全体を見たと思い込むこと。
自分の狭い見識に基づいて、かってに判断することのたとえ。(小学館『デジタル大辞泉』より)
子どもの頃、「いろはかるた」が大好きでした。その絵札が、今も鮮明に思い浮かびます。
江戸時代風の人物が、ヨシを縦にして天井に向けています。
その御仁、ヨシの下端に片目を当て、懸命に下から天井を覗くあの絵柄。
調べてみたところ、私の記憶に残るのは「江戸いろはかるた」。
奥野かるた店製のものだったようです。
その公式サイトによれば、創業は1921年(大正10年)。
将棋棋士であり駒師の初代 奥野一香(奥野藤五郎)の息子・徳太郎によって、「奥野一香商店」として創業。東京都港区芝田村町に店舗を構えました。
その後、第二次世界大戦による休業を経て、現在は神保町で営業されているようです。
ギャラリーも併設されていて、ぜひ訪ねてみたいですね。
また、軽井沢には「カルタミュージアム 軽井沢小さなカルタ館」があるようです。
いわゆる「水車の道」に面したところ。堀辰雄が好んで散策した辺りです。
などと、話は広がりますが、今日はこの辺にしておきましょう。
葦の髄から天井を覗くようなことにならないよう、、、と自戒しつつ。